サメの川を渡る

 

川には橋が架かっているとは限りません。 メンバーさんの家に行くのに、みんなに支えられながら急流を渡りました。               

雨季には流されて死ぬ人がいます。

 

 

 

 

 

リナは8人も子どもがいるのについ最近夫を亡くしました。彼はアフメットという日本のNGOで働いており、ココナツ石鹸の指導をしていた人でした。これから大変だと思います。

マツバファンドから融資を受けてパンを焼き、朝市場や学校で売る仕事を始めました。子どもたちもそれを手伝っているようです。



雨期になると道路が陥没します。トラックが登れなくなり、近所の人たちがロープで引っ張ってくれます。私たちはお礼にほんの少しのお金を渡すのですが、もしかしたら帰れないかもしれないと思うと本当に感謝です。

 

ジュリアナは字が書けません。義務教育が普及したのはインドネシア占領時代からで、それ以前、とりわけ女性は教育を受ける機会が無かったからです。だから50歳以上の人には契約書に自分の名前の書けない人が多く、ジュリアナは娘に手伝ってもらってサインをしています。時には口紅を親指に塗って拇印を押してもらうときもあります。


ジュリアナは道路端でバッグや古着を売る仕事を始めました。 下はジュリアナの店です。

 

ジョアキム(左)は最初野菜の行商をしていました。ビジネスが上手で、コーヒーのビジネスも始め、私から融資を受けて大型のコーヒー精製機(写真下右)を手作りし、お店(写真下左)も大きくし、トラック(写真下中)まで買いました。その後政府の発電所の工事まで請け負って、大きなビジネスマンになっています。でもまだ政府からはお金を払ってもらっていないとぼやいていましたが・・・。



マネージャーさんたちとの会議




  会議を終えてタイ料理レストランで

 ご想像のとおり融資の回収率はよくありません。大体60%程度です。でもそれは現地の人たちが真面目に返そうとしてくれないからではありません。日本でだって初めてビジネスをする人は失敗する率が高いでしょう。その上経済法が整っていません。銀行預金などという安全な貯蓄方法もありません。みんな日々の生活に追い回されています。

 融資したお金が自分たちのぜいたくに使われてしまうという人もいます。でも、東ティモールの人たちのぜいたくは、子どもたちにちょっと栄養価のあるおいしいものを食べさせるとか、新しい古着を買ってやるとかで、決してブランド品を買ったりするわけではありません。


 下は道端でガソリンを売るビジネスに融資をしたのですが、リーマンショックの時うまくいかなくなって返済してくれなくなったグループです。 メンバーの一人の息子が、「こんな安い金利でこんないい融資は明らかにビジネスではない。返さなければならないお金だ。」と説得し、自分も手持ちのお金を出してくれました。少しづつ返してくれる予定です。(でもどうかな?)

 融資の回収、つまり借金の取り立てですが、一度も嫌な思いをしたことがありません。感動することや楽しいことばかりです。近所の人もみんな私の味方になってくれて、周りから「ほらここに10ドルあるからこれで返しなよ。」などと言って加勢してくれます。私も「このお金は私に返してほしいのではない。今後やはり小さなビジネスを始めようとしている東ティモールの貧しい人たちのために返してほしい。」と言っています。

 これまで一生懸命返してくれた人と不公平にならないように、いつまでも請求し続けますが、無理な取り立てはファンドの意図に反します。